「職場内でポカミスが発生しているけど、原因や対策方法が明確にできない…」このようなお悩みはございませんか?

ポカミスの対策を行うためには、まずは原因を知ることが重要です。根拠のない対策では、ポカミスの発生率はおさえられません。

そこで本記事では、製造業でポカミスが発生する原因や、対策の流れや例を解説いたします。この記事で、ポカミスの対策方法を明確にし、安全かつ品質不良を1%でも減らせる職場環境をつくるヒントとしてご活用ください。

人の行為がきっかけであるポカミスは品質不良の大きな原因の一つです。「人に起因する品質不良の未然防止と具体的な対策」では、ポカミスの原因の一つであるヒューマンエラーの発生メカニズムと対策を解説しています

人に起因する品質不良の未然防止と具体的な対策

ポカミスとは?

ポカミスとは、人が行うミスにより「製品不良」「顧客からのクレーム」「人の怪我」を引き起こす行為を指します

ポカミスの語源は将棋や囲碁の対局中に、不注意によって思いもよらない悪手を打ってしまうことを「ポカ」と呼び、製造現場でも同じ意味合いで使われるようになりました。

製造業でポカミスが発生する4つの原因

人が行う作業でポカミスが起こる原因は4つあります。

  • ヒューマンエラー
  • 作業環境や設備の問題
  • 手順や工程等のルールの欠陥
  • 作業員の教育や指導の不足

作業を行う「人」が原因の場合や作業環境、設備に問題があるケースなどさまざまです。
順番に詳細を説明していきます。

ヒューマンエラー

ヒューマンエラーとは、人が行う作業によって起こる失敗や事故のことです。厚生労働省によると「意図しない結果を生じる人間の行為」とも説明されています(注1)。

ヒューマンエラーの種類は以下の5つです。

ついつい・うっかり型

記憶エラー

  • 覚えられない
  • 正しく続けられない
  • 思い出せない

認知エラー

  • 見逃す・聞き逃す
  • 見間違える・聞き間違える
  • 認識を間違える

判断エラー

どんな状況か、次に何をすればよいかの判断を間違える

行動エラー

方法、手順を間違える

あえて型

  • 決まり事を守らない
  • 横着、手抜きをする

出典:生産性&効率アップ必勝マニュアル|厚生労働省

上記5つのいずれかが原因でヒューマンエラーが引き起こされ、ポカミスの原因となります。

ヒューマンエラーについて、以下の記事では発生要因や対策方法を具体的に解説しています。併せてご覧ください。

作業環境や設備の問題

作業環境や設備の状態によっては、ポカミスが発生する原因となります。作業環境には「照度」「騒音」「温度」などがあげられるでしょう。

作業環境が原因で起こるポカミスには、以下のようなものがあります。

原因の環境

ポカミスの内容

照度照度が不十分な場所で作業を行い、誤操作をした
騒音騒音がある場所で作業したため、聞き間違えを起こし誤操作をした
温度暑い場所で作業を行い、手が汗ばむことで手元が狂い作業ミスをした
5Sの乱れ部品の分別・整理がされていないため、誤って別の部品を組み込んでしまった

設備が原因で起こるポカミスには、以下のようなものがあります。

原因

ポカミスの内容

設備不良

指定された配管に接続されたバルブの操作を指示されたが、配管の敷設が複雑で別のバルブを操作した
指定されたスイッチの操作を依頼されたが、似ている名称のスイッチがあり、誤操作してしまった

手順や工程等のルールの欠陥

手順や工程がマニュアルなどルールで定められていても、内容に不備があるとポカミスは起こります。必要な手順が抜けていたり、操作手順が前後で逆に記載されていたりすることなどが原因です。

マニュアルが更新されておらず、古い情報のまま運用してしまうこともポカミスにつながるでしょう。ルールが定められているにも関わらず、守らないことも原因となります。

作業員の教育や指導の不足

十分な知識やスキルがない人が作業を行うと、ポカミスを引き起こします。

日々の業務に追われ、OJTの時間がないことから教育を省いたり、教育を行ったとしても内容が不十分であったりすると、知識や技術は上がらずポカミスの原因となるでしょう。

ポカミスの例

代表的なポカミスの事例を3つ紹介します。

  • 不良品率の上昇
  • 作業員のケガ
  • 納品の遅延

自身の職場にあてはめながら、確認してみてください。

不良品率の上昇

不良品率を上昇させてしまった事例は、以下のとおりです。

作業員の状況ボルト・ナット・ワッシャーをセットし、スパナで締める作業をしていた
作業環境十分なスキルや知識がない人が、1人で作業をしていた
作業員がとった行動ボルトとナットの間にワッシャーを入れずに、スパナで締めた
結果ワッシャーを入れ忘れたものは不良品となり、解体作業が行われた

上記のポカミスには、以下2点の原因が考えられます。

  • スキルや知識が不十分なこと
  • 1人で作業していたこと

「ワッシャーを入れる意味合いを理解していない」「1人で作業を行いミスに気付けなかった」ことが原因で起きた事例です。

作業員のケガ

作業員のケガにつながった事例は、以下のとおりです。

作業員の状況

金属製品の加工場で、鉄筋を担いで移動していた

作業環境

複数の鉄筋が地面に束ねられずに置かれていた

作業員がとった行動

集積してあった鉄筋に足を乗せた足元の鉄筋が回転し、足をすくわれバランスを崩したことで、鉄筋加工台に背中を強打した

結果

足元の鉄筋が回転し足をすくわれバランスを崩したことで、近くにあった鉄筋加工台で背中を強打した

【出典:職場のあんぜんサイト:労働災害事例|厚生労働省

上記のポカミスは、以下2点が原因です。

  • 大丈夫であろうと考え、集積してあった鉄筋に足を乗せたこと
  • 鉄筋が束ねられることなく、作業動線上に放置されていたこと

「大丈夫であろう」といった誤った判断や、鉄筋をまばらに置いてポカミスを誘発する環境をつくったことで発生した事例です。

納品の遅延

納品の遅延を引き起こした事例は、以下のとおりです。

作業員の状況

納品予定の原料をタンクへ受け入れる準備をしていた

作業環境

原料が運ばれてきたが、タンクが満杯で受入れ不可能

作業員がとった行動

指定された納品時間から3時間延長することで、原料タンクが空き受入れを行った

結果

納品が遅れたことで、顧客からのクレームが入った

上記ポカミスの原因は、以下2点が原因です。

  • 前日に、当日受け入れるタンクのレベルを確認したつもりが、別のタンクレベルを確認していたこと
  • タンクのレベル確認をする際は、2人で行うルールとなっていたが、1人で確認したこと

レベル確認をする際の「不注意」「ルールを守らなかった」ことによって発生した事例です。

ポカミス対策の4つの流れ

ポカミスを防止するためには、以下の4ステップで対策すると効果的です。

  1. ポカミスの原因を明らかにする
  2. 手順/工程のルールを見直し明確にする
  3. 作業員の意識/作業環境にも目を向ける
  4. 意識やルールを周知/徹底させる

順番に解説していきます。

1.ポカミスの原因を明らかにする

まずはポカミスが起こった原因を探り、明確にすることが重要です。原因がわからなければ、起こったポカミスに合う効果的な対策は立てられません。

とりあえず思いつく対策を立てたり、根拠のない対策を立てたりしても効果は出ず、同じようなポカミスが再発してしまいます。

原因を知るために、以下の5点を確認しましょう。

  • 当事者へ当時の作業状況や心理状態
  • 当事者の知識や技術
  • 設備の問題
  • 作業手順の問題
  • 作業環境の問題

一つずつ検証していき、問題点がないか洗い出すことが重要です。

2.手順/工程のルールを見直し明確にする

ルールや手順を守らなければ、当然ポカミスは発生します。しかし守るべきマニュアルや手順書に誤りがあると、ポカミスは防げません。

以下3点を見直し、明確にしましょう。

  • 現状の工程に問題はないか
  • 誰が見てもわかるマニュアルになっているか
  • 本当にいままでの手順が正しいのか

上記の項目を見直し、マニュアルや手順書などへ反映することが大切です。

3.作業員の意識/作業環境にも目を向ける

ポカミスの対策をするためには、作業員や作業環境に目を向けることも重要です。

完璧なマニュアルをつくっても、当事者の作業員が手順やルールを守らなければ効果はありません。なぜルールを守ることが大切なのか、守らなければどうなるのかを伝えることが大切です。

また、作業環境に問題がないかも見直しましょう。マニュアルやルールを守っても、作業環境に問題があればポカミスを誘発します。

作業環境が「暗い」「騒音がひどい」「暑い」など作業員に与える悪影響を探りましょう。

4.意識やルールを周知/徹底させる

「ルールを知らなかった」では、マニュアルや手順書をつくった意味がありません。マニュアルや手順書を作成・見直ししたら、職場内で周知する必要があります。

作業員がルールを徹底するように、上司や管理職へ相談して周知してもらうことも効果的です。

ポカミスの対策例(ポカヨケ)

ポカミスの対策例を5つ紹介します。

  • 設備や作業環境への投資
  • KY活動を実施する
  • 指差呼称をする
  • 意識/ルールの学習機会を定期的に設ける
  • マニュアルを整備する

上記5つの対策をおこなえば、ポカミスの発生率を抑制できます。すべて行えればベストですが、できるものから順次対応していけば問題ありません。

順番に解説していきます。

設備や作業環境への投資

設備や環境を改善すれば、ポカミスの発生率を下げられます。職場で改善案を捻出し、自分たちで対策を実施できればベストです。

しかし自分たちで実施できる対策には、限界があります。「対策を実施する時間がない」「自分たちで対応できる技術がない」といった場合は、お金をかけて対策を行いましょう。業者への外注や、最新技術の設備・装置を導入するなど投資を行います。

特に安全に関する対策へ、投資を惜しんではいけません。製造現場は「安全第一」だからです。考えなしにお金をかけるのではなく、どこへ投資するかを社内で検討したうえで対策を行いましょう。

KY活動を実施する

ポカミス対策には「KY活動」も効果的です。KY活動とは危険予知活動の略称で「作業や職場にひそむ危険性や、有害性などの危険要因を発見する活動」です。

KY活動は5〜6人でチームを編成し、以下のような手順ですすめます。

  1. どんな危険が潜んでいるかを洗い出す
  2. 危険ポイントを決める
  3. 自分ならどう対策するかを考える
  4. チーム内で話し合い、重要な対策を1つに絞る

労働災害の8割は不安全な行動が原因だといわれています(注2)。作業前の危険予知をおこなうことで、未然に不安全行動を防ぎ、ポカミスを抑制できるでしょう。

指差呼称をする

指差呼称もポカミスの抑制に役立ちます。作業前の「緊張感」や「集中力」を高める効果があるからです。広島大学大学院保健学研究科の研究によると、指差呼称を行うことで操作ボタンの押し間違いが「1/6」になるといわれています(注3)。

指差呼称の正しい手順は、以下のとおりです。

  1. 対象をしっかり見る
  2. 対象を指で差す
    呼称する項目を声に出しながら、右腕を真っ直ぐ伸ばし、対象から目を離さず、人差し指で対象を指差します。なお、指を差す際、右手の親指を中指にかけた「縦拳」の形から、人差し指を真っ直ぐに突き出すと、指差しが引き締まります。
  3. 差した指を耳元へ
    差した右手を右の耳元まで戻しながら、「本当に良いか(正しいか、合っているか)」反すうし、確かめます。
  4. 右手を振り下ろします
    確認できたら、「ヨシっ!」と発声しながら、対象に向かって右手を振り下ろします。また、(1)~(4)の一連の動作は、左手を腰に当て、背筋をピンと伸ばし、キビキビと した動作で行うことが奨励されています。

【引用:職場のあんぜんサイト:指差呼称[安全衛生キーワード]|厚生労働省

正しい指差呼称を周知させ、ポカミスの抑制に努めましょう。

意識/ルールの学習機会を定期的に設ける

安全への意識やルールは、一度周知したからといって身に付くものではありません。学習機会を定期的に設けて、意識づけすることが大切です。たとえば作業員間でマニュアルの教育を行ったり、毎日の朝礼でルールを読み上げたりすることなどがあげられます。

教育を行う人は正しい情報を伝える必要があるため、マニュアルについて学習機会を得られるでしょう。

マニュアルを整備する

手順やルールが明確になっていない作業については、マニュアルを作成・周知しましょう。すでにマニュアルが存在する作業については、内容の見直しや不十分なポイントがないかを確認し、定期的に更新する必要があります。

マニュアルの作成や更新を行ったら、上司や同僚など職場内で確認してもらうことも忘れてはいけません。自分だけでは気付けないような、不備や見落としがあるからです。

従業員の学習、マニュアル整備には動画が効果的

ポカミス対策のための従業員教育やマニュアル整備には、時間がかかってしまう側面もあります。現場の知識がある従業員が教育/マニュアル整備に時間を割くと、その分の稼働時間が減ってしまい売上減少や労働時間の超過など、他の問題が生じる恐れもあります。

そのため、ポカミス対策へ時間や労力をかけずに、効果のある対策を立てられるのがベストです。従業員の教育やマニュアルを動画で行うことによって、OJTの時間削減やマニュアル整備の工数削減を実現しつつ、ポカミス対策を行うことが可能です。

実際の作業風景を撮影し、保存した動画に文章や装飾を施すことで、スムーズに手順や技術を伝えられます。

こちらでは、現場改善を実現する「動画マニュアルの導入・活用ガイドブック」をダウンロードいただけます。併せてご覧ください。

はじめての動画マニュアル作成ガイド

まとめ

人が作業を行う限り、ポカミスを完全になくすことはできません。そのなかで、ポカミスが起こりにくい状態をつくることが大切です。今回紹介した対策例を参考に、職場内で足りないものはなにか、どんな対策がうてるかを考えポカミス防止につとめましょう。

ポカミス対策には動画マニュアルが効果的な手段の一つです。動画を活用したマニュアル整備で、スムーズに知識やスキルを上げる教育が行えるでしょう。

出典:
※注1、2 職場のあんぜんサイト:ヒューマンエラー[安全衛生キーワード]|厚生労働省
※注3 確認作業に「指差し呼称」法を用いた時の前頭葉局所血流変動の比較|広島大学大学院保健学研究科