製造業における安全教育とは？安全衛生との違いや安全教育のネタ・マニュアルを紹介
製造業における安全教育とは、労働者の安全と健康を確保するための取り組みを指します。
この記事を読んでいる方は、
「労働災害を防ぐために安全教育が知りたいが、そもそも安全教育について知識がない。」
「法的要件や規制に従うため安全教育が必要だが、どう進めてよいかわからない。」
「労働環境を改善し生産性を向上させるために安全教育を理解したい！」
といった悩みを抱えているのではないでしょうか。
そこでこの記事では、製造業における安全教育の概要や安全衛生との違い、製造業における安全教育の種類、安全教育で気を付けるポイントについて紹介します。
この記事は製造業における安全教育の重要性や具体的な方法を理解する上で非常に役立つ情報が満載です。安全教育を通じて、製造現場をより安全かつ効率的に改善しましょう。
全従業員に安全衛生の意識を浸透させる方法を元労働基準監督署署長の村木 宏吉氏が解説する動画も無料でご覧いただけますので、本記事と併せてご覧ください。
目次
製造業における安全教育とは？安全衛生との違いも解説
安全教育は「知識と技能の伝達」であり、安全衛生は「職場環境の整備と健康の確保」です。
つまり、安全教育が労働者に安全と健康に関する知識と技能を伝達する教育活動であり、安全衛生は職場の環境を整え労働者の安全と健康を確保するための取り組みや施策を指します。
以下、具体的な安全教育と安全衛生の定義について解説します。
安全教育とは
安全教育とは労働者の安全と健康を守るための教育のことです。具体的には労働安全衛生法に基づき、事業者に以下の教育が義務付けられています。
- 雇入れ時教育
- 作業内容変更時教育
- 職長等教育
さらに、安全管理者等の労働災害を防止するための能力向上教育、危険または有害な業務に従事する者への安全衛生教育、健康教育なども実施されることが求められています。安全教育を受けることで労働者は安全衛生に関する知識と技能を身につけ、労働災害のリスクを低減することが可能です。
例えば、製造現場では機械の操作や化学物質の取り扱いなどさまざまなリスクが存在します。安全教育を受けることで製造業のリスクを正しく理解し、適切な対応ができるようになります。
安全教育では実際に現場で働く従業員の視点を活用し、どこにどんなリスクが存在するのか話し合うことも有効です。
安全衛生とは
安全衛生とは、労働者の安全と健康を確保するために快適な職場環境を整える取り組みのことです。
具体的には労働者に危険がなく安心して働けるようにする取り組み、仕事による負傷や死亡を防ぐ取り組み、仕事が原因の病気を防ぐ取り組みの3つがあります。安全衛生の取り組みを通じて労働者の生命や健康を守ることが可能です。
特に製造現場では高温や高圧、化学物質などの危険な環境が多く存在します。安全衛生の取り組みを実施することで現場のリスクを最小限に抑え、労働者が安全に作業を行える環境を整えられます。
現場改善ラボでは安全衛生に取り組む重要性や全従業員へ安全衛生の意識を浸透させる方法について、元労基署長の村木 宏吉氏が解説している講演の動画を視聴可能です。ぜひこの機会に参考にしてみてください。
製造業において安全教育はなぜ必要？
製造業において安全教育が必要な理由は、労働災害を未然に防ぐためです。
参考元：厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課「令和4年 労働災害発生状況」
厚生労働省が作成した上記の表によると、令和4年度（2022年）は製造業における休業4日以上の死傷者数は26,694件でした。2021年度の26,424件と比べると休業4日以上の死傷者数は上昇傾向にあります。
労働災害が減るどころか増えつつある状況のため、労働災害を未然に防ぐためにも早急な安全教育が必要です。
製造業における安全教育の種類
製造業における安全教育の種類として、以下6つの教育が挙げられます。
- 雇入れ時の教育
- 作業内容変更時の教育
- 特別の危険有害業務従事者への教育（特別教育）
- 職長等への教育
- 危険有害業務従事者への教育
- 安全衛生水準向上のための教育
雇入れ時の教育
初めて製造現場に参加する労働者は、環境と機械に慣れておらず業務内容や使用する機械の操作方法を知らないことが多いため、雇入れ時にしっかりと教育を行う必要があります。
例えば、自動車部品の組み立てラインでの作業では特定の手順や機械の操作方法を正確に理解する必要があります。雇入れ時の教育をしっかりと行うことで事故のリスクを低減することや、新入社員が安心して業務に取り組むことができる環境を提供することが可能です。
雇入れ時の教育を通じて、新入社員は自らの安全だけでなくチーム全体の安全を確保するための基本的な知識と技術を習得できます。
作業内容変更時の教育
製造現場では生産効率の向上や品質管理のための改善が求められるため、新しい機械の導入や作業手順の変更が頻繁に行われます。
例として、新しいロボットアームの導入により従来の手作業から自動化された作業に変わる場合、労働者は新しい操作方法や安全対策を学ぶ必要があります。作業内容の変更が行われる際には、労働者に対して適切な教育を提供することが必要です。
作業内容変更時の教育を通じて、労働者は新しい作業内容や機械の操作方法を正確に理解し、安全に業務を遂行することができます。
特別の危険有害業務従事者への教育（特別教育）
製造業には危険有害業務と呼ばれる危険が伴う業務が存在します。例えば、高温の溶融金属を扱う鋳造作業や有毒な化学物質を使用する塗装作業には特別な注意が必要です。
危険な業務を行う労働者には通常の安全教育以上の特別教育が必要です。特別教育を受けることで労働者は高リスクの業務における安全対策や緊急時の対応手順の習得が可能になり、労働者の安全を確保するだけでなく業務の効率や品質の向上も期待できます。
現場改善ラボでは特別教育の概要や実際に行う内容、技能教育との違いや特別教育の行い方について詳しく解説した記事を用意してあります。ぜひこの機会に参考にしてみてください。
職長等への教育
製造現場において職長やリーダーはチームのメンバーを指導し、安全な作業環境を維持する責任があります。
職長等への教育は安全を確保するための基本的な知識や技術、さらにはリーダーシップやコミュニケーションスキルの向上を目的としています。職長等への教育を受けることで職長やリーダーはチームの安全を確保するための適切な指示や対応を行えるようになります。
また令和5年（2023年）4月1日より「食料品製造業」及び「新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業」が新たに安全衛生教育の対象業種として追加されたため、教育の重要性がより一層高まることとなります。
現場改善ラボでは職長教育の定義や安全衛生責任者との違い、職長教育を行なう目的や方法について詳しく解説した記事を用意してあります。ぜひこの機会に参考にしてみてください。
関連記事：職長教育と安全衛生責任者教育の違いは？実施目的や再教育の期限を解説
危険有害業務従事者への教育
危険有害業務を行う労働者は業務のリスクを十分に理解し、適切な対策を講じる必要があります。
例えば、化学薬品を取り扱う作業では適切な保護具の使用方法や緊急時の対応手順を学ぶ必要があります。
危険有害業務従事者への教育は、労働者の安全を確保するための基本的な知識や技術を提供し、労災やヒヤリハットを未然に防ぐことが目的です。
安全衛生水準向上のための教育
製造現場は技術の進化や新しい機械の導入、作業手順の改善などにより日々変化しています。日々の変化に対応し、労働者の安全を確保することで事故リスクを低減できるだけでなく、生産性や品質も向上するため安全衛生の水準を常に高める取り組みが不可欠です。
例えば、ある製造工場で高温の環境下での作業が日常的に行われていたとします。高温の環境下では熱中症のリスクが高まりますが、安全衛生水準向上のための教育を行うことにより労働者は熱中症の予防方法や症状の早期発見、対応策などを学ぶことが可能です。
製造業の安全教育で気を付けるポイント5選
安全教育で気を付けるポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- 受講者の立場に立って教える
- 具体的に教える
- 理由を伝える
- 順序良く教える
- 外部専門機関等を活用する
受講者の立場に立って教える
安全教育を成功させるため、まずは受講者の理解と実践が必要です。教育内容を伝える際には受講者の知識レベルや理解度を考慮し進めることが重要です。定期的なフィードバックや質問の時間を設けることで受講者の理解を深められます。
製造現場では新しい機械や技術が導入されることが多くあります。
例えば、新型のプレス機械を導入した際に操作方法や安全対策が変わることも考えられます。例のような場合、受講者の経験や知識レベルに合わせて段階的に教育を進めることが重要です。初心者には基本的な操作方法から、経験者には新しい機能や安全対策に焦点を当てて教育を行うことで効果的な学びを実現できます。
具体的に教える
「きちんと行う」といった抽象的な指示では受講者に具体的な行動をイメージさせるのは難しいといえます。例えば、「きちんと混ぜる」という指示をする際は、具体的に「色が均一になるまで混ぜる」と説明することで受講者に明確な行動指針を示すことが可能です。また、実際の写真や動画を使用して説明することで理解の助けになります。
特に製造現場では具体的な指示が求められることが多いでしょう。
例えば「きちんとボルトを締める」と指示された場合、その「きちんと」の程度は人によって異なるため、「トルクレンチを使用して20Nmで締める」という具体的な指示を出すことで作業の品質や安全性を確保できます。
理由を伝える
安全行動の背後にある「なぜ」を理解することで、受講者はその行動の意義や重要性を認識することが可能です。例えば、特定の安全装置を使用する理由や手順を順守する背後にあるリスクを明確に伝えることで受講者は安全行動の必要性を実感できます。
製造現場での安全行動の背後には、具体的な理由や背景が存在します。例えば、特定の部品を取り扱う際に保護手袋を着用する理由を「その部品には刺激性のある化学物質が含まれており、直接触れると皮膚にダメージを与える可能性がある」と説明することで、受講者はその行動の重要性を理解しやすくなります。
順序良く教える
情報の伝達には適切な順序が求められます。安全教育をする際は、基本的な内容から始めて徐々に詳細や難易度の高い内容へと移行することで、受講者はスムーズに情報を吸収することが可能です。また、最初に全体像を示すことで受講者が各部分の内容を整理しやすくなります。
製造業の教育では作業の手順や流れを正確に理解することが重要です。例えば、製品の組み立て作業では部品Aを取り付けた後に部品Bを取り付けるという順序が必要である場合、順序と理由を説明することで受講者は作業の流れを正確に把握できます。
外部専門機関等を活用する
安全教育の内容は専門的であり、効果的に伝えるためのノウハウや経験が求められます。外部の専門機関や労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントなどの専門家の知識や経験を活用することで、より高品質な教育を実施することが可能です。
製造業には特定の機械や技術に関する専門的な知識が求められる場面が多い傾向にあります。例えば、新しい溶接技術の導入時には技術に精通した外部の専門家を招き、従業員への教育を行うことが効果的です。外部の専門機関やコンサルタントの知識や経験を活用することで高品質な教育を実施することが可能です。
しかし、「外部コンサルタントを雇うことに抵抗がある」といった悩みや、コスト面での懸念を抱えている方も多いのではないでしょうか。そこで、内部で安全教育を完結させるおすすめの方法として、動画マニュアル「tebiki」を次の章で紹介します。
安全教育には動画マニュアルがおすすめ！
安全教育には動画マニュアルがおすすめです。ここでは動画マニュアルがおすすめな理由、おすすめなツールであるtebikiの紹介をします。
動画マニュアルがおすすめな理由
製造業や物流業、食品業などの現場では人やモノ、機械の動きが業務ノウハウとして重要です。ノウハウを文字だけで伝えるのは難しいですが、動画ではノウハウを最も効果的に可視化できるため、教育の現場では動画マニュアルがおすすめです。
例えば、製造現場での機械の操作方法や物流業の荷物の取り扱い方法といった微妙な動きや手順を動画で示すことで、新人や他部門のスタッフも迅速に理解できます。
動画マニュアルには「tebiki」がおすすめな4つの理由
tebikiは動画マニュアル作成のクラウドツールです。業務の”カン・コツ”を可視化し、データ蓄積することでOJTの効率化や業務標準化、技術伝承を推進できます。
例えば、新日本工機株式会社やカルビー株式会社など多くの製造業の企業がtebikiを活用して、技術の蓄積や作業品質の安定を実現しています。
動画マニュアルにはtebikiがおすすめな理由として、以下の4つが挙げられます。
- 機械による騒音に影響されずにマニュアルが確認できる紙ではなく動画で学べる
- 字幕翻訳機能付きで多言語に対応
- 習熟度の理解が可視化できる
機械による騒音に影響されずにマニュアルが確認できる
tebikiには音声認識システムが搭載されているため、動画の音声を自動で字幕に変換します。製造現場など機械の騒音が大きい場所でも、字幕機能により動画の内容を正確に理解することが可能です。
紙ではなく動画で学べる
動画は視覚的な情報を提供できるため、紙のマニュアルよりも直感的に学べます。特に製造現場では機械の操作や作業の流れなど、文字だけでは伝わりにくい情報を動画で簡単に伝えることが可能です。
字幕翻訳機能付きで多言語に対応
tebikiは100ヵ国以上の言語に対応した自動翻訳機能を搭載しています。製造現場で外国人スタッフが働いている場合にも、自動翻訳機能により母国語に瞬時に字幕を翻訳できるため理解度が格段に向上します。言語ごとにマニュアルを作成する手間も省けるため、より少ない労力で充実したマニュアルを作成できる点もおすすめです。
習熟度の理解が可視化できる
tebikiには誰がどのマニュアルをどれだけの時間見たか、業務ができるようになったかが一目でわかる機能があります。そのため、製造現場での新人教育や研修の際にtebikiを利用することで教育の効果やスタッフの習熟度を正確に把握することが可能です。
tebikiの資料は無料でダウンロード可能ですので、ぜひこの機会に資料をダウンロードしてみてください。
安全教育のネタに迷ったなら
製造現場では、日々の業務の中でさまざまなリスクが潜んでいます。特に食品製造現場では転倒や機械への巻き込まれ事故など多くの事故が報告されており、特に転倒事故などは日常的に発生する可能性があります。結果として重大なケガや生産停止などの損失が生じることもあります。
重大な事故や労災を未然に防ぐには安全教育が求められますが、「どのようなテーマで教育しよう」など、ネタに困ってしまう場面もあるのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが、最新ツールを活用した教育です。
近年では、最近の技術の進歩によりVR（仮想現実）を活用した安全教育コンテンツが開発されています。
最新技術を活用した安全教育を受けることで事故のリスクを事前に認識し、適切な対策を講じられるようになります。
また、VR安全意識向上サービスはDVDや安全マニュアルを用いた研修に比べて直感的・主体的に学べるため理解と記憶の定着がスムーズです。
製造業に勤めている方にとってVRを活用した安全教育は事故の予防や安全意識の向上に役立つツールとなるでしょう。安全教育のネタに迷った際、最新の技術を取り入れて効果的な教育を実施することをおすすめします。
各月の議事テーマ／例や、安全意識を定着させる現場教育の方法を元労働基準監督署署長の村木 宏吉氏が解説する動画も無料でご覧いただけますので、参考にしてみてください。
tebikiを使って安全教育を動画マニュアル化しよう【まとめ】
安全教育は労働者が安全に作業を行うための知識や技術を身につけるための教育を指す一方、安全衛生は労働環境を安全かつ健康的に保つための取り組みを指します。
製造業における安全教育の実施は、労働災害を未然に防ぐという意味でも非常に重要です。多くの事故は適切な知識や技術がないことが原因となって発生します。そのため、安全教育を徹底することで事故のリスクを大幅に減少させることが可能です。
安全教育の具体的な内容としては雇入れ時の教育や作業内容変更時の教育、特別教育などが挙げられます。また、職長や危険有害業務従事者への教育も欠かせません。安全教育を通じて、安全衛生の水準を向上させることが期待できます。
安全教育を実施する際のポイントとしては、受講者の立場に立って教えることや具体的に教えることが挙げられます。また、理由を伝えることで受講者の理解を深めることも可能であり、順序良く教えることや外部専門機関を活用することも効果的です。
近年、現場で動画マニュアルの活用が進んでいます。動画を使用することで視覚的に理解しやすく、実際の作業の様子をリアルに伝えることが可能です。特に、tebikiを利用することで機械の騒音があっても文字で理解できる動画マニュアルを作成することができるほか、動画の編集自体も簡単なので使いやすい点も特徴です。
この記事で紹介した動画マニュアルtebikiの資料は無料でダウンロード可能です。安全教育のために、ぜひこの機会にtebkiの資料を無料でダウンロードしてみませんか？