「品質管理ってどんな業務?」「品質管理って業種ごとに違うの?」と疑問に思っていませんか。

品質管理の業務では、おもに製品の品質を確保するために現場のデータの収集や解析や問題点に対する改善活動を行っています。その業務の目的や理想像は業界ごとに違いますが、品質管理で用いられる分析手法や考え方は変わりません。

この記事では主に、品質管理の業務内容や品質保証との違い、業界別の品質保証に求められる業務について解説します。

QCの7つ道具から新QCの7つ道具まで、品質管理で現場の環境改善や問題の対策を行うための基本的な手法や考え方も一通り理解することが可能です。ぜひ最後までご覧ください。

品質管理とは?

品質管理とは製造、生産する製品の品質を管理する活動で、「Quality Control」とも呼ばれています。

品質管理を理解するうえで、まずは以下の3点をおさえておきましょう。

  • 品質管理の概要
  • 品質管理の業務内容
  • 品質管理に資格は必要?

順番に内容を解説していきます。

品質管理の概要

設備や原料、生産者が同じであっても、工場で製造された製品にはバラツキが発生します。

バラツキを最小限におさえ、品質を顧客が満足する水準に保つための活動が品質管理です。

品質管理の業務内容

品質管理を担当する人は、消費者が求める製品の品質を担保するための仕組みづくりや体制の維持管理を行います。

主な業務内容は、以下のとおりです。

  • 製品の品質改善
  • 不良品製造の予防や対処
  • 検査機器の調整、原材料や製品の分析
  • 作業者への教育
  • QC工程表の作成

QC工程表とは「Quality Control Chart」の略称で「品質管理チャート図」と呼ばれます。原材料の納入から製品出荷の過程で、誰がどのように品質を管理するのかを可視化したものです。不良品が発見された場合にはミスが起きた原因を調査し、特定後、生産システムの再調整を行い、製造現場の環境改善をおこないます。

QC工程表の作り方は以下の記事で詳細に解説しているので、併せてご覧ください。

品質管理に資格は必要?

品質管理は、製造したものを市場へ供給する前に行う重要な業務ですが、資格は必須ではありません。ただし、品質管理をするうえで役立つ資格はあります。代表的な資格に「品質管理検定(QC検定)」があげられます。

品質管理検定は、一般財団法人日本規格協会が認定している民間資格です。資格取得の過程で品質管理の考え方や進め方、改善方法など学べるため、品質管理に関わる人は取得を検討してみてはいかがでしょうか。

また、資格ではありませんが組織として「ISO9001」を認証取得することも効果的です。ISO9001とは、品質マネジメントシステムの国際規格です。認証取得することで、世界中あらゆる環境で品質が高い商品を提供できる証明になり、顧客満足度の向上につなげることが可能です。

ISO9001の概要、認証取得する流れは以下の記事で解説しているのでご覧ください。

品質管理の目的と理想像

品質管理の業務には明確な「目的」と達成したい「理想」があります。順番に内容を説明していきます。

品質管理の目的

品質管理の目的は「誰が作業を行っても良品を安定してつくれる環境を形成する」ことです。具体的には品質を維持、改善するための予防と対策を効率よく行うことがあげられます。

良品を安定的につくる環境を整えることが、品質管理の目的です。

品質管理の理想像

品質管理の理想は「不良品をつくらない」「不良品を後工程へ流さない」ことです。

不良品が後工程に流れると生産できない時間が生まれ、損失が発生します。

不良品をつくらない環境を整えること、不良品をつくったとしても後工程へ流さないことが理想です。

品質管理と品質保証の違い

品質管理とは「製造、生産する製品の品質を管理する活動」でした。

一方で品質保証は「製品が既定の品質を維持しているかを確認し、市場の顧客に安心や満足を保証するための活動」です。

両者の違いは「買い手」「売り手」といった視点の違いといえるでしょう。

品質保証は完成した製品が対象の「買い手視点」の活動であり、品質管理は製造する製品を対象とした「売り手視点」の活動であることです。

業界ごとにおける品質管理の違い

品質管理を行っているのは、製造業だけではありません。「製造」「IT」2つの業界から、品質管理の違いを解説していきます。

製造業界

製造業では以下3点を目的に、品質管理を行います。

  • 顧客を満足させる製品を製造する
  • 不良品をつくらない
  • 納期の期限を守る

品質管理ができていなければ、不良品の発生率が高くなったり、納期に間に合わなくなったりと、顧客からの信頼を失ってしまいます。

顧客からの信頼がなくなれば、製品を使ってくれる人は減り、その企業は生き残れなくなるでしょう。そのための事業の安定的な継続と品質はワンセットであり、品質管理は事業の成否をも左右する重要な要素です。

IT業界

IT業界では以下3点を目的に、品質管理を行います。

  • 要望どおりにシステムを開発する
  • システムの動作に異常はないか
  • 納期の期限を守る

上記を目的に、品質が確保されているかを検証しますが、発注側のニーズをすべて反映したものではありません。

納期と開発費用のバランスをとりながら、システムの要件を最大限担保していくことが、IT業界における品質管理の目的です。

品質管理における3つの基本

品質管理は以下3つの管理を行い、製品の品質を保証しています。

  • 工程管理
  • 品質検証
  • 品質改善

順番に内容を解説していきます。

工程管理

工程管理では品質を確保するために、以下3つの管理を通じて工程を適切な状態に管理します。

  • 作業の標準化
  • 品質を確保するための教育、作業訓練
  • 品質不良を防ぐための設備の維持管理

製品を生産する工程で不良品が発生しないように、作業の標準化を行います。作業マニュアルの作成や、作業者による品質や作業時間のばらつきをなくすためには技能や知識の研修、社内教育も必要です。

生産設備の点検や修理なども工程管理に含まれます。マニュアルを作成するだけではなく、ルールを守ってもらうために品質教育や作業訓練を実施することも大切です。

また生産工程で使用する原料や設備なども管理し、品質の安定化を目指します。工程管理の概要は以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。

品質検証

品質保証ではつくられる製品や、つくられる工程に問題がないかを以下2つの管理から検証します。

  • 製品品質の検証
  • 工程能力、管理状態の監視

仕入れた原材料や資材、製品の検査も行います。生産工程が安定していたとしても、製品の基となる原料などに異常があってはつくられる製品の品質は守られないからです。

品質改善

品質改善では製品の品質改善だけでなく、生産工程の品質改善も行います。生産工程で発生する問題点を洗い出し、解決へ導くことで品質を改善して納品トラブルなどを防ぎます。

問題点の洗い出しでは原料に問題点があったのか、生産工程に不具合があったのかなど、現状把握が重要だといえるでしょう。

品質改善をする際は、現場の環境調査や実際に作業している人へのヒアリングを行い、仮説を立てて検証を繰り返します。問題点の特定後は原因を分析し、対策を立案して改善していくのです。

製造業における品質改善の手法は、以下の記事で詳細に解説しています。実際の企業における取り組み事例もご紹介していますので、併せてご覧ください。

品質管理で用いられるの主な手法/考え方

品質管理では現場の環境改善や問題の対策を行うために、さまざまな手法が用いられます。代表的な手法や考え方は次の通りです。

  • QC7つ道具
  • 新QC7つ道具
  • QCストーリー
  • PDCAサイクル
  • IE(インダストリアルエンジニアリング)
  • 4M分析
  • TQM(総合的品質管理)

順番に内容を解説していきます。

QC7つ道具

品質における問題解決や原因調査を行う際は、データの収集や整理、分析が欠かせません。QC7つ道具はこれらに役立つ分析手法です。QC7つ道具は、以下のような手法に分類されます。

  • チェックシート
  • ヒストグラム
  • 特性要因図
  • 散布図
  • パレート図
  • グラフ
  • 管理図

上記のうち「グラフ」と「管理図」をまとめた場合、「層別」と呼ばれる手法が含まれる場合もあります。層別も含めて、詳しく解説していきます。

手法1:チェックシート

チェックシートの図解

チェックシートは、チェックする項目を洗い出し、表にしてデータを解析する手法です。データが項目別にどこへ集中しているかを視覚化できるため、問題点が把握しやすい状態をつくれます。製品や作業などの確認、点検項目を抜け漏れなくチェックできる便利な手法です。

チェックシートは、誰が見てもわかりやすい内容で、簡単にチェックできるようにつくりましょう

手法2:ヒストグラム

ヒストグラムの図解

ヒストグラムは「度数分布図」とも呼ばれています。横軸に階級(区間)、縦軸に度数をとった統計グラフです。

バラツキを持ったデータの集まりから、バラツキの平均値や状況を視覚的に把握できます。

そのため、品質や作業データを解析するうえで欠かせない手法といえるでしょう。

手法3:特性要因図特性要因図とは、結果と原因がどのように関係し、影響しあっているかを一覧に書き表したものです。図の形が「魚の骨の形」に似ていることから、フィッシュボーン図と呼ばれることもあります。

特性要因図は、以下のような流れで作成していきます。

  1. 背骨:解決したいテーマを記す
  2. 太骨:思いつく限り要因を書き出す
  3. 小骨:要因(太骨)が発生する要因を記載
  4. 孫骨:要因(小骨)をさらに細分化する

要因をさまざまな側面から深堀りできるため、課題を効率よく洗い出すことが可能です。

手法4:散布図

散布図の図解

散布図は特性や要因などのデータを、図中の交点にプロットした図です。原因と結果の関係、結果と結果の関係、原因と原因の関係などデータの相関関係を確認するときに使用します。

散布図を使用することで、たとえば「生産時間」と「品質異常件数」の関係性、「作業時間」と「作業人数」の関係性など、お互いが影響しあうかを判別することができるのです。

手法5:パレート図

パレート図の図解

パレート図は、パレートの法則を図式にして表したものをさします。パレートの法則とは、イタリアの経済学者ビルフレッド・パレートが発見した法則です。

ある事象(結果や要因)が起こった80%の要因は、全体を構成する20%の要素が生み出しているという理論。つまり20%しかない要因が、80%の結果を生み出しているということです。

パレート図では「棒グラフ」と「線グラフ」を組み合わせた複合グラフを使用します。発生している問題において、大きな割合を占めているものを特定するための方法です。

手法6:グラフ

グラフの図解

データを視覚的に表したもので「数値の比較や変化」を把握しやすくするために使用します。品質管理によく使われるグラフと代表的な目的として、以下5種類があげられます。

  • 折れ線グラフ:変化の観察
  • 帯グラフ:比率の比較
  • 棒グラフ:数や量などの比較
  • 円グラフ:比率の観察
  • レーダーチャート:バランスの観察

折れ線グラフは時系列などの変化を把握する際に使用します。棒グラフは量の多さや値の大きさの違いの比較に役立つでしょう。

円グラフは全体の割合を見るために活用します。レーダーチャートは複数項目の結果を表し、量の大小を把握しつつ、構成比のバランスや特徴を見るときなどを把握したいときに便利です。

手法7:管理図

管理図は、工程の状態を可視化したときに使用します。データのバラツキから、自然のバラツキと異常時のバラツキを判別して、工程が安定しているかを把握、管理するためのツールです。

管理図を使用して日常の異常を可視化することで、不良や不具合を未然に防ぐことが可能です。

QC7つ道具については、以下の記事でも詳細に解説していますのでご覧ください。

新QC7つ道具

「QC7つ道具」は主に、数値データを整理し、分析して品質管理で活用するものでした。

しかし実際には、数値化が不可能な問題で情報を整理・分析し、問題を解決するための発想や手法が必要なケースもあるでしょう。

上記のような場面で活躍するのが「新QC7つ道具」です。新QC7つ道具には、以下7つのような手法が存在します。

  • 系統図法
  • 連関図法
  • 親和図法
  • マトリックスデータ解析法
  • アローダイアグラム
  • PDPC法
  • マトリックス図法

順番に内容を紹介していきます。

手法1:系統図法

系統図法とは、目的を達成するために最適な手段や方法をツリー状に細分化する手法です。手段や方法を整理して、相互の関係や要素の抜け落ちもチェックできます。

目的達成のための手段や方法を細分化することで、実行すべき最適な手段を導き出すことが可能です。

手法2:連関図法

連関図法の図解

連関図法は、いくつかの情報や問題、事象などの相互関係を明らかにする手法です。「原因と結果」「目的と手段」といった互いの関係を論理的に紐解き、問題解決に導きます。

問題の発生原因が多く、なかなか解決方法が見つけられないといった場合に役立ちます。問題を発生させる主要な要因を絞り込むことに焦点をあてた手法です。

手法3:親和図法

親和図法の図解

親和図法はまとまりのないバラバラな言語データを、同じような種類のグループにまとめ、問題点や解決策を導く方法です。いろいろな言語データがあり整理がつかないときや、取り組むべき課題が明確でないときに使います

複数人で意見を出し合うことで、偏った考えや思い込みが解消され、新たな解決策が生まれます。そのため、親和図は2人以上で作成すると、より効率的な解決策を導くことができるでしょう。

手法4:マトリックスデータ解析法

マトリックス図法の図解

マトリックスデータ解析方法とは、項目間の特性や関連性などを数値データで表し、分析するための方法です。新QC7つ道具のなかで、唯一数値データを取り扱います。

集めたデータを数値的に視覚化して解釈するためのツールで、2つ以上の数値データを解析し、問題の整理や解決方法を見つける際に役立つでしょう。

手法5:アローダイアグラム

アローダイアグラムの図解

アローダイアグラムは、計画を進めていくために必要な作業の順序を矢印と結合点で結び、作業効率化の検討やスケジュール管理などを行う手法で、図中で矢印を用いるため、矢線図とも呼ばれています。

必要な作業の手順を可視化できるため、作業同士の関連や日程の前後関係を明確にすることが可能です。作業の進捗管理や日程を短縮するための検討を行う際にも、活用できる便利な手法です。

手法6:PDPC法

PDPC法の図解

PDPCとは「Process Decision Program Chart」の略称で「過程決定計画図」とも呼ばれています。目的達成までに予想される問題と対処方法を図に表すことで、とっさのトラブルにも対応できるように準備を整える手法です。

PDPCで表された図はわかりやすい見た目で作成されるため、現状や問題が把握しやすい手法といえます。

手法7:マトリックスデータ解析法

マトリックスデータ解析法の図解

マトリックスデータ解析法は2つの要素を行と列に表し、それぞれの関連度合いを可視化したいときに使用する手法です。問題解決の優先順位を決める際などに活用できます。

たとえば「行に問題の対策案」「列に効果性」を記載すると、どの対策が効果的で優先するべきかを把握できるでしょう。

新QC7つ道具については以下の記事でわかりやすく解説していますので、併せてご覧ください。

QCストーリー

QCストーリーとは、品質管理における問題を解決をしていく方法です。QCストーリーでは、主に以下の8ステップで問題解決を進めていきます。

  1. 職場の問題からテーマを選定する
  2. 現状把握のための調査/情報収集
  3. 問題解決につながる目標を設定する
  4. 活動スケジュールを計画する
  5. 問題の原因を把握する
  6. 対策案を検討、実行する
  7. 対策の効果をチェックする
  8. 効果が出たものを標準化する

QCストーリーは、現場の小集団活動でも活用されています。上記のステップに従うことで、円滑に小集団活動を進めることが可能です。QCストーリーを効果的に活用するためには、最後の8ステップまで完了させる必要があります。

たとえば、せっかく問題解決の方法を抽出できても「7:対策の効果をチェックする」ができていなければ、問題解決の方法が正しく実施されません。また、今後の方針についても決めることで同じ問題を何度も繰り返さない仕組みを作ることができます。

QCストーリーの8ステップの中身について、以下の記事で解説していますのでご覧ください。

PDCAサイクル

PDCAサイクルは、以下手順の頭文字を並べた業務改善の手法です。

  1. 計画:(PLAN)
  2. 実施:(DO)
  3. 確認:(CHECK)
  4. 改善:(ACTION)

PDCAサイクルは「1~4」までの工程を一度だけでなく、二度三度行い業務の改善を進めていきます。「4:改善」まで行ったあとに、再度「1:計画」へ戻ることで、業務改善の質は上がっていくといった考えです。

IE(インダストリアルエンジニアリング)

IEとは「Industrial Engineering」の略称で、生産工学または産業工学と呼ばれています。工程や作業内容を科学的に分析して、生産管理方法を追求する手法です。

作業工程をすべて洗い出して各工程の生産性を数値化し、数値が変動した原因を追求することで改善点を見つけ出す方法をさします。IEは現場で行われている不要な作業や、無駄にコストを使用している部分も明確にできる手法だといえるでしょう。

4M分析

4M分析とは、製品の製造に関する項目を4つ要素に分類し、問題の発見と解決、工程の改善などに役立てる手法です。

4M分析が示す4つの「M」は、以下のとおりです。

  • Man:人
  • Machine:機械
  • Material:材料
  • Method:方法

4Mを用いると細分化して状況を分析できるため、偏りや抜けのない洗い出しが可能となり問題点を明確にできます。4M分析の方法は以下の記事をご覧ください。

TQM(総合的品質管理)

TQMとは「Total Quality Management」の略称で、総合的品質管理と呼ばれています。経営陣が策定した経営戦略をトップダウンして、品質目標まで落とし込み全社的に展開していきます。

TQMは部分的な品質の向上を目指すのではなく、全社的に品質を向上させることがねらいです。TQMは全社的あるいは全部門的な質的向上を目指すとともに、あらゆる業務を総合的に向上させることにあります。

TQMの進め方は、以下の記事で詳細に解説していますのでご覧ください。

まとめ

品質管理は、市場の顧客へ製品を出荷する前に行う重要な業務です。出荷前の品質を確保し、顧客から満足して製品を使ってもらえるような管理をしていかなければなりません。そのため、今回紹介した「QC七つ道具」「QCストーリー」などの手法を用いて、品質管理の質を上げ続ける必要があります。

品質管理の業務に携わるときは、今回ご紹介した品質管理の手法や考え方が参考になりましたら幸いです。