スキルマップとは、従業員一人ひとりのスキルを可視化できるツールです。従業員のスキルを定量的に評価し、強みや弱みを把握することで組織全体の効率化に役立ちます。組織内での人員配置の最適化や従業員のモチベーション向上に繋がる有効なツールであり、Excelやスプレッドシートで簡単に作成が可能です。

このようなメリットからスキルマップの導入をお考えの方も多いと思いますが、実際に作る方法やポイントが分からない、自社には本当に効果があるのか?という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、スキルマップの基礎知識を解説しながら、作り方やトヨタ自動車での活用事例をご紹介いたします。

目次

スキルマップとは?その目的

ここではスキルマップについての概要や目的、さらに注目されている背景について解説しましょう。

スキルマップとは?

スキルマップとは、従業員のスキルや能力を数値や記号で定量化し可視化したツールです。スキルマップの活用で、従業員一人ひとりのスキル向上やグループで業務する上で必要な知識や技能を誰が備えているか一目で把握することが可能です。

国内ではスキルマップの他に力量表や力量管理表と呼ばれ、海外ではスキルマトリックス(Skills Matrix)​​と呼ばれています。スキルとは技能や技術力がイメージされますが、その他に業務の管理能力や業務を遂行するために必要な能力などが含まれます。

たとえば製造業の場合、管理項目として「A製品を1時間以内に組立できる」「旋盤の機械操作ができる」「ISO9001内部監査員の資格」など様々です。

スキルマップは意味ない?活用する目的

スキルマップは、職場や役職ごとにどのようなスキルが必要とされるかを明確に把握できたり、モチベーションの向上も期待できるので、意味がないわけではありません。

しかし、スキルマップは「何ができるか」を示すだけで、「どう育成すべきか」についての情報は含まれていないため、スキルマップがあれば全てを解決できるわけではありません。スキルマップはあくまで従業員のスキルを可視化して管理するものと認識しましょう。

製造業でよく見られるのは、スキルマップを作成した後、活用方法に困るケースです。たとえば、新入社員が入社した場合、スキルマップだけでは新入社員をどのように教育すべきかがわかりません。そのため、スキル取得のための人材育成の施策もスキルマップ作成と同時に行うことが大切です。

スキルマップが注目される2つの背景

従業員のスキルを可視化できるスキルマップですが、なぜ可視化が注目されているのでしょうか?注目される背景は主に以下の2つが挙げられます。

  • デジタル化が急速に加速
  • 年功序列から個人の成果主義へ移行

それぞれ詳しく解説していきます。

デジタル化が急速に加速

日本社会では、ここ数年でデジタル化が急速に加速しています。一方で、組立作業や機械の操作はできるが、パソコン操作やデジタルツールを使うスキルが身についていない人が少なくありません。企業が求めている必要なスキルと、従業員が有するスキルには差があり、スキルギャップと呼ばれるギャップが発生しています。

今後ますますデジタル化が進む現代において、スキルギャップが拡大される懸念があり、個々の能力の管理が重要です。スキルマップで従業員のスキルや能力を把握し、課題や問題点を素早く改善して強靭な企業体制を構築することが求められています

年功序列から個人の成果主義へ移行

近年の日本では人口減少社会へ突入し、終身雇用や年功序列といった考え方は崩壊しつつあります。人材育成方法も新卒を一括採用して企業で人を育てていくメンバーシップ型の制度から、中途採用で専門スキルがある人を積極的に採用するジョブ型への移行が進んでいます。

従来のメンバーシップ型では、OJT教育を中心に働きながら適性や能力に合わせて業務を与えるやり方が一般的でした。しかし、入社から定年退職まで一つの企業で働くといった受け身のスタイルでは、教育効率性が低く生産性を高められません。

一方、採用段階でキャリアパスが明確な専門スキルがある人材を確保すれば、職務に応じたアサインが可能となり業務改善が期待できます。さらにオンライン学習やセミナーなど学習方法を多様化すれば、自律的なキャリア形成の支援が可能です。

このような日本企業の環境の変化から、企業の視点と個人の視点からスキルやキャリアの可視化が重要になり、スキルマップの運用が急務となっています

スキルマップとISO9001の関係

ISO9001では顧客満足度の向上を最終目的とし、一貫した製品やサービスを提供し続けられるプロセスの構築と改善が求められます。ISOの要求事項の中で力量の要求事項があり、一覧表で活動記録を示せるスキルマップの活用が有効です。

ISO9001における7.2力量についての要求事項は以下になります。


“7.2 力量

組織は、次の事項を行わなければならない。

a) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。

b) 適切な教育、訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を備えていることを確実にする。

c) 該当する場合には、必ず、必要な力量を身に付けるための処置をとり、とった処置の有効性を評価する。

d) 力量の証拠として、適切化した情報を保持する。

注記 適用される処置には、例えば雇用している人々に対する、教育訓練の提供、指導の実施、配置転換の実施などがあり、また、力量を備えた人々の雇用、そうした人々との契約締結などもあり得る。


製品やサービスの品質を向上させるには、業務に必要な力量の管理が必要です。従業員のスキルが不足している場合は、教育や訓練でスキルを補い文章で記録を残します。

たとえば製造業の事例では、組立工程や検査工程で製品品質を担保するための重要業務として作業認定が必要です。組立工程ではんだ付けする業務であれば作業認定し、検査工程では測定機器の使い方や測定スキルを取得しています。工程ごとに業務内容を洗い出し、従業員が取得しているスキルをスキルマップで管理すれば、不足している点が明確になり改善に着手しやすいです。

またISO9001の認証・定期監査では力量評価のエビデンス提示が求められます。口頭での説明に加え実施した記録やエビデンスで根拠を示す必要があるので、スキルマップは有効なツールとなります

しかし、ISO9001を取得する前後にはさまざまな壁があり、悩みの内容も多岐にわたります。よくあるISO9001に関するお悩みを専門家が解説する動画を無料で公開していますので、以下からご覧ください。

ISO専門家が解説!ISO9001がしっかりわかる相談会

スキルマップを活用するメリットとデメリット

この章ではスキルマップを導入するメリットとデメリットを解説していきます。

スキルマップのメリット

スキルマップを導入するメリットは主に4つ挙げられます。

  • 業務の効率化を図れる
  • リスクの洗い出し/業務を標準化できる
  • 公正に人事評価ができる
  • 従業員のモチベーション向上が期待できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

業務の効率化が図れる

スキルマップを導入するメリットの一つは、業務の効率化が図れることです。スキルマップを導入すれば、部署や工程単位で従業員一人ひとりのスキルを可視化できます。人員配置の偏りや改善ポイントが見つけやすく、工程設計の見直しが可能です

またスキルマップで従業員のスキル分けをすれば、自分の担当業務の範囲が明確になり、余計な業務を省けるので業務の効率化が図れます。

その他の業務効率化に関するアイデアは以下の記事で解説しています。

リスクの洗い出し/業務を標準化できる

リスクの洗い出しと業務を標準化できることは、スキルマップを導入するメリットの一つです。スキルマップで誰がどの業務を担当できるかを整理することで、スキル管理ができます。

たとえば製造業では予期せぬ感染症の流行や従業員の退職により、一時的な工場閉鎖や製造ライン停止が考えられます。普段からスキルマップで従業員のスキルを管理し、どの工程でも対応できる準備をすれば穴の空いた工程に人員を補充できます。

普段から従業員が対応すべき工程をスキルマップで明確にし、教育や研修で必要なスキルを身につけることで業務の標準化や多能工化も可能です

公平に人事評価ができる

公平に人事評価ができることは、スキルマップを導入するメリットの一つです。年功序列が根強く残る日本では、年齢や勤続年数で人事評価する企業が多く残っています。向上心がある社員と受け身で仕事をする社員の評価が同じでは納得感がありません。

近年では転職が身近になり、企業の人事制度や評価に納得がいかない場合は退職してしまうケースが少なくありません。優秀な従業員が流出してしまえば業務に穴が空くだけでなく、他の従業員の負担が大きくなり生産性が低下します

このような事態を避けるためにスキルマップで目指す姿をフィードバックし、具体的な評価基準を示すことが重要です。

従業員のモチベーション向上が期待できる

スキルマップを導入するメリットの一つは、従業員のモチベーション向上が期待できることです。自分には何のスキルが足りないか、どこを伸ばせば良いか目標設定がしやすくなり、従業員の業務に対するモチベーションの向上が期待できます。やりがいを感じて自発的な行動ができれば、個人のスキルアップだけではなく組織全体でスキルの底上げが可能です。

また、従業員がスキルを身につけバランスよく人員配置ができれば、有給休暇を積極的に推奨できます。担当者が1人しかいない仕事や属人化している業務を排除し、従業員が働きやすい環境作りを推進していきましょう。

スキルマップのデメリット

スキルマップの導入時に考慮すべきデメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。

  • スキルマップの作成/管理に時間がかかる
  • 公平で妥当性がある評価基準が必要
  • スキルマップの定期的な更新が必要

スキルマップの作成に時間がかかる

スキルマップを導入するデメリットの一つは、スキルマップの作成に時間がかかることです。組織の業務を全て理解し、細分化してスキルマップに落とし込む必要があるので工数がかかります。作業手順書やマニュアルが整備されていない業務もあり、作業を洗い出す時間も必要です。

スキルマップを作成するだけではなく、評価が意図通りに行われるか検証したり、従業員へ新しいスキルを教えるマニュアル整備や、事前の工数の見積もりが必要になります。

公平で妥当性がある評価基準が必要

公正で妥当性がある評価基準が必要なことは、スキルマップを導入するデメリットの一つです。スキルマップは部署間で評価基準や評価内容に差がある場合、従業員から不満が出る要因となります。そのため、組織全体で同じ評価基準を設定する必要があります。

管理者が一方的にスキルマップを作成するのではなく、利用者とコミュニケーションを取りながら納得してもらえるスキルマップを作成していきましょう。

定期的な更新が必要

スキルマップを導入するデメリットの一つは、定期的な更新が必要なことです。スキルマップは定期的に更新して、継続的に利用することで効果が期待できます。たとえば新人が入社した場合や従業員がスキルを取得した際には、その都度更新する必要があります。

またISO9001の認証・定期監査でもスキルマップが定期的に更新されていることで適正に管理できていると見なされるので、更新期間を半年や1年と決めて運用しましょう。

トヨタの事例から学ぶスキルマップの活用法

トヨタ自動車ではスキルマップと密接に関係しているETSSを活用して、従業員のスキルを管理しています。

ETSSとは、ITエンジニア業界で使われる言葉で、 組込みソフトウェアの技術者・開発者不足に陥っている日本において、国際競争力を高めていくために設定された技術者や開発者の人材育成・活用に有用なスキルを測定する指標のことです。少し定義が長いので簡単に解説すると、ETSSとは「組込みソフトウェアの開発スキルを測定する指標のこと」で企業や個人が自らのスキルを把握したり研修の際に指標として活用されています。

トヨタ自動車は、ETSSで設定されている指標に対して、どのようなスキルが必要かを細かく分類します。そして、グループ単位で技術者個人のスキルを得点形式にして、スキルマップを作成したことでスキルの可視化ができ、あるグループはここのスキルが弱いというようなことが一目でわかるようになりました。

ETSSやスキルマップを導入する前のトヨタ自動車は、勘と経験とコツで教育を行っていましたが、ETSSやスキルマップを導入することによって、技術者を客観的に理解することに成功しました。トヨタ自動車の活用事例はスキルマップを導入した好事例と言えるでしょう。

参考元:日本のものづくり産業にもたらすETSSの意義と国際標準化への道を考える

スキルマップの活用が特に効果的な業界/職種

スキルマップにはメリットとデメリットそれぞれがありますが、特にスキルマップが効果を発揮する業界や職種があります。効果的な業界/職種は主に以下の4つです。

  • 製造業
  • 建設業
  • 営業
  • エンジニア

それぞれ詳しく解説していきます。

製造業

スキルマップが効果的な業界の一つは、製造業界です。日本ではものづくりを発展させるために、以前からスキルマップを導入している企業が多く存在します。

DXが加速する現代でも専門性が高い分野では属人性が高く、スキル取得が必須です。人の入れ替わりも激しく、効率良く生産するには従業員のスキルを把握して工程設計しなければなりません。

製造業ではISO9001を認証している企業が多く、要求事項として力量評価が求められているので個人のスキルが一目で分かるスキルマップが広く利用されています。

建設業

建設業は多くの専門職がおり、それぞれが持つスキルが異なるため、スキルマップは建設業において効果的なツールです。

たとえば、建設業では建築士、土木エンジニア、プロジェクトマネージャーなど、多くの役割がありますが、スキルマップを使用することで、各職種のスキルレベルを明確にし、必要な研修や教育プログラムを効率的に計画できます。

建設現場と製造現場は、多くの専門職が協力してプロジェクトを進める点で似ています。スキルマップを活用することで、現場のスキルギャップを明らかにし、効果的な改善策を導入できます。

営業

営業は顧客対応、商品知識、交渉力など、多くのスキルが求められる職種であるため、営業でもスキルマップは非常に有用です。

たとえば、新製品の販売を成功させるためには、製品知識だけでなく、顧客のニーズに対応する能力も必要です。スキルマップを用いることで、スキルを可視化し、強化すべき点を明確にできます。

製造業の現場でも、営業スキルは重要であり、製品を効果的に市場に出すため、または新しいビジネスチャンスを探るためには、営業力が不可欠でしょう。スキルマップを活用すれば、スキルを高め、より効果的な営業戦略を練ることが可能です。

エンジニア

エンジニアの世界では、技術の進化が速く、常に新しいスキルが求められるため、スキルマップは必須です。

たとえば、プログラミング言語やフレームワークは日々更新されています。スキルマップを使用することで、エンジニアのスキルセットを定期的に評価し、必要な研修を行うことが可能です。

製造業でも、エンジニアリングスキルは製品開発や生産プロセスの改善に直結します。スキルマップを活用すれば、エンジニアのスキルを明確にし、製造プロセスの効率化や品質向上が期待できるでしょう。

スキルマップの作り方と導入の流れ

この章ではスキルマップの作り方と導入の流れを解説していきます。

誰が作成するかを決める

スキルマップを作成するには、まず誰が作るかを決めます。

日頃から従業員の業務の進捗を確認している管理者が作成している場合が多いですが、担当者を選任して作成することも可能です。作成担当者にスキルマップのたたき台を作成してもらい、内容を管理者に確認してもらう方法も選択肢の一つです。

項目に盛り込むスキルを洗い出す

次に業務の流れや工程に沿って、項目に盛り込むスキルを洗い出します。ここではExcelやスプレッドシートで管理する方法が良いでしょう。

スキルの洗い出しは管理者だけではなく、従業員に協力してもらえば抜け漏れなく対応が可能です。

たとえば製造業では直接現場を管理する係長やリーダークラスに作業やスキルの抽出を協力してもらう方が良いでしょう。作業手順に反映されていない業務や重要視されていない作業を抽出可能で、評価項目に盛り込めます。

スキルの分類/階層を決める

スキルの洗い出しが完了したら、スキルの分類と階層を決めます。スキルは製品ごとや工程ごとに分類し、階層は3〜4つがおすすめです。

スキルの階層が多すぎると管理が大変になり、少ないと適正な評価ができません。組織全体で生産性を向上させるためにネック工程を見つけ、個々のスキルを向上させて生産効率を改善するなど、具体的に管理する目的を明確にして決めていきましょう。

各スキルの評価方法/基準を定める

スキルの評価方法で多く用いられるのは数字か記号です。評価基準を1〜4の数値で表した事例は以下になります。

  1. 上位者のサポートができる
  2. 指導を受けながら業務を遂行できる
  3. 指導を受けずに、単独で業務を遂行できる
  4. 人に指導ができる

数値で評価すればスキルの一覧が確認できます。また、項目ごとに点数を集計しレーダーチャートを作成すればスキルの見える化が容易です。客観的な指標を入れることで、強みと弱みがわかりやすいので、数値での評価をおすすめします。

スキルの評価者を明確にする

スキルの評価は本人の自己評価と上長評価の二段形式で行うことが理想です。双方の認識を合わせれば評価のギャップが明確になり、納得した評価が得られます。

理想は評価後に従業員一人ひとりと面談をし、コミュニケーションを取りながらフィードバックすることです。従業員の不満解消やモチベーションの向上が期待できるので、ぜひ実践してみてください。

記入者/評価者それぞれのマニュアルを整備する

スキルマップの使い方について、従業員と評価者それぞれのマニュアル整備が必要です。評価は本人の自己評価のやり方、管理者の評価方法を確立して組織内で共有します。マニュアルの作り方は以下の記事をご覧ください。

実際に現場で使ってみる

スキルマップと評価方法のマニュアルが作成できたら、試用期間を設けて実際に現場で使ってみましょう。実際に運用すれば机上では見えなかった課題や管理すべき項目が抽出できます。

従業員と管理者でコミュニケーションを密にとり、気になる問題点を仮運用中に洗い出すことが重要です。

課題点を修正する

仮運用中に見つかった課題点や問題は、素早く修正します。評価のギャップや偏りが大きい場合は、管理項目を変更したり、評価基準を見直したりして、ブラッシュアップします。

実運用後も課題点が見つかるので、スキルマップの項目や評価のマニュアルを定期的に見直し管理していきましょう。

スキルマップの項目例とテンプレート

スキルマップを活用するためには、テンプレートがあると便利でしょう。そこで、厚生労働省が提供しているテンプレートと製造業向けのテンプレートを例として記載しますので、ぜひ参考にしてみてください。

業界業種別の項目例やテンプレート(厚生労働省)

厚生労働省が提供するテンプレートは数多くあり、非常に有用です。

経営戦略からはじまり、労務管理、総務、経理、マーケティング、生産管理など数多くのテンプレートが用意されています。その中でも、最も製造業に近い生産管理のテンプレートについて解説しましょう。

記載項目としては、能力細目に以下の項目があります。

  • ビジネスや社会経済の一般動向の習得
  • 会社の仕組みの理解
  • ビジネスマナーの習得
  • PC及びネットワークの理解 
  • ワープロソフト、表計算ソフト等の活用
  • 情報の検索・加工と整理
  • 諸規程、諸ルールの遵守
  • 倫理的問題の解決
  • チームワークの発揮
  • 周囲との関係構築

各職種でスキルマップの項目だけでなく、それぞれの評価基準なども記載されているので、初めてスキルマップを導入するという方に厚生労働省のテンプレートはおすすめです。

(厚生労働省「職業能力評価シート(事務系職種)のダウンロード」)

製造業向けの項目例とテンプレートをご紹介

製造業向けのテンプレートは現場改善ラボで独自のテンプレートを用意しました。以下のフォームより現場改善ラボのメルマガにご登録いただくと、エクセルのテンプレートをDLいただけます。

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スキルマップの評価基準の考え方

スキルマップは、単にスキルをリストアップするだけではなく、それぞれのスキルに対する評価基準が必要です。評価基準が明確でないと、評価者によって評価のブレが出てしまうことでスキルのレベルや適性が不明確になり、人材配置や育成プランが効率的に行えません。

そのため、評価段階を設定する場合は評価基準を細かく厳密に定め、定量的な数値で誰が評価しても迷うことなく安定した評価ができるように作成する必要があります。

資格や経験がある・ないなどの確認する部分は2段階評価で、そのスキルがどの程度のレベルなのかを確認する場合は、そのスキルの重要性や粒度に合わせて3から5段階評価で設定するといいでしょう。

たとえば、製造業で必要とされる「機械操作スキル」を考えましょう。機械操作スキルの評価基準は、操作速度、精度、安全性など複数の要素で構成され、なおかつ3から5段階評価で設定するべきです。具体的には、「低レベル 中レベル 高レベル」の3段階評価で一定レベル以上の操作ができ、なおかつエラー率が何%以下であれば「高レベル」と評価するなど、明確で定量的な基準を設けることが重要です。

デジタルツールでスキルマップを作ることが増えている

デジタルツールは自動化やデータ分析が容易であり、手作業で行うよりも時間と労力を大幅に節約できるため、デジタルツールでスキルマップを作成することが増えています。

たとえば、製造業であれば、従業員のスキルセットとレベルをリアルタイムで把握し、必要な研修や人員配置を素早く調整できます。

さらにデジタルツールを使用すると、人の手によるエラーを減らし、一貫性のある評価が可能になるため、データの正確性も向上します。

たとえば、製造業の現場では、機械操作のスキルレベルや安全対策の知識など、多くの異なるスキルが必要です。デジタルツールを使用することで、スキルを正確に評価し、必要な改善点を明確にできます。

デジタルツールでスキルマップを作成するメリットは多く、特に製造業や現場改善を目指す方々にとっては、効率性、正確性の向上は大きな利点です。

スキルマップをいかして現場改善【まとめ】

本記事では、スキルマップの作り方や導入効果があった企業事例を紹介しました。

スキルマップを作成して適切に運用すれば、従業員一人ひとりのスキルを一目で把握でき生産効率の改善や自社の弱みを発見できます。

また従業員のスキルを定量的に評価できるので、新たな目標を見つけられたり、モチベーションの向上に繋がったり様々なメリットがあります。

一方でスキルマップの作成には時間がかかり、管理や維持工数がかかるのでデメリットを理解して導入を検討してください。スキルマップを有効に活用し、組織全体をブラッシュアップしていきましょう。

スキルマップは若手育成に大変有効なツールです。若手が育たないと悩む製造業勤めの方には、スキルマップをいかした育成をおすすめします。

また現場改善ラボでは、若手が育たない原因について解説した動画が視聴可能です。ぜひこの機会に参考にしてみてください。

若手が育たない原因は『現場』にあり。製造現場に求められる新人/若手教育の掟

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